皆様、有難うございました。
お蔭さまで創作オペラ「江川太郎左衛門~熱き心の火」、国文祭杮落しのお役目を果たすことができました。
国文祭の成否を担うトップバッターとして、盛り上がりを嫁せられていると認識しておりましたが、10月24日、25日ともアクシスかつらぎ大ホールは大入り満員、大盛況、満席でございました。ステージから見まして、ホールの端から端まで人がいっぱいというのはまさに壮観で、感激でした。
オペラって、お客様が多ければ多いほど声が伸びます。響くのです。それはお客様の呼吸が歌に集中し、同化するからなのですが、出演者は本当に気持ちよく歌わせていただくことができました。
また、うちのオペラの特徴は、熱っぽい演技、魅力的な役者たち、そして、舞台装置の大掛かりなこと、衣装の素晴らしさなど、お客様の目を奪うことも手法としておりますので、3時間もの長いオペラでしたが、「時の経つのを忘れた」などの声をたくさん戴きました。
そお、例えば、生のパンが焼ける場面、江戸城が歌とともに動く場面などの「としこマジック」をご堪能していただけたものと思います。
「もう一度みたい」「TVで放映して下さい」などの声を始め、感想のお電話、お手紙、そしてメール有難うございました。
そのうちの一つですが、清水町の相原修さんからです。
「坦庵公オペラ大成功を納め国文祭が大きく盛り上がったこと、心からお祝い申し上げます。
・・・中略・・・
声量豊かなオペラの迫力と言うものは、他の演劇に見られない心に迫るものを感じました。
私にとっては永年に渡ってあの周辺を調べ尽くしてきましたので感動は特別なものでした。
特に安政2年正月、坦庵公ご夫妻の歌うシーン、実に素晴らしいシナリオ、演出に心から感動致しました。
あのようなシナリオで採り上げて下さったことは正に絶品でした。
また、韮山農兵から長州騎兵隊への働きかけが資料でも発掘された模様ですが(この項、すごく詳しく書かれております)オペラではすでに取り上げられており、感心しました。(ご自身のお仕事に触れています)
また、私自身、兎も角オペラによって大きなエネルギーを頂きました」。
相原様、有難うございました。
実はオペラに関し、もう一つお話したいことがあります。
10月23日のゲーペ(総練習のことでゲネプロとも言います)を、なんと、静岡芸術劇場スパックの芸術総監督宮城聡先生が、中沖英敏スパック事務局長(県理事)とご一緒に見にいらして下さったのです。
宮城聡先生と言いますと日本を代表する演出家、演劇界の寵児蜷川幸雄氏、唐十郎氏等とも親交が篤く、今や、宮城先生を慕って世界中から演出家が静岡に集まっていると言うほどの方、その先生が、24日に「夜叉が池」が本番を迎えるというお忙しい中を、アクシスかつらぎに駆けつけ、オペラチーム一同にエールを贈って下さったのです。
宮城先生の真剣に舞台を見つめる表情に胸を打たれましたが、なんと、こうおっしゃって下さったのです。
「私は感心しました。この脚本です。特にイギリス紳士淑女が紅茶の話をしている、やわらかく入って行きながら、次第に話が怖ろしくなり、アヘン戦争の密談に移って行く件です。驚きました」とお褒めを戴いて、私は嬉しくて嬉しくて、天にも昇るような気持ちでした。

そして中沖事務局長さん、「日本の創作オペラはほとんど一回公演しただけでおしまい、再演されることは先ず無いが、オペラ江川太郎左衛門は3回再演、4度目の公演となるそうで、これは大変なこと、正に地域の文化財産」と評価して下さいました。お二人ともに「今回限りでは惜しい、追加公演を」と。
韮山代官江川太郎左衛門をオペラにする・・・一体、オペラになるだろうかと私は苦しみながら脚本を書いたわけですが、出来上がってみれば、オペラだからこそ坦庵公のスケールの大きさを表現できたと言えますし、また、素材が素晴らしければ再演にもなる、ということが解りました。

私どもの伊豆市民オペラ協会は「伊豆地域に住む、声楽を学んだ方々にステージの機会を作ってあげたい」と主旨でやっております。勿論活動に市などの補助金はいただいておりません。会費と賛助金で賄っております。
国文祭に参加できたことは有り難く、また、国文祭の「文化を育てる」という趣旨に合致したものと自負しております。
これも偏に会場にお運びいただいた観客の皆々様のお蔭と、改めて御礼申し上げます。有難うございました。
2009年11月1日